maoring blog

このブログはセマンティックウェブ関連の技術的なあれこれを綴ったブログです。

ニコニコ学会βサマーキャンプ2015に参加して

2015年8月8日(土)〜9日(日)まで
ニコニコ学会βサマーキャンプ@筑波 に参加してきました。
(完全プライベートです。意見も完全に個人の意見です。)
今回おじゃました目的は,ニコニコ学会β関連の活動をリアルで体験してみたかった
ということと,最近情報科学系の方と絡んでいなかったのでお話したかったということ
思考を少し発散させたかったということ,ラフなコミュニケーションを模索したかったこと
ウェブアプリケーションやツールを作っている方がどんな視点で取り組んでいるのかということを知りたいというのが目的でした(目的多っ)。
結論から言うと,想像以上に良い時間を過ごせたように思います。
例のごとく,いちど書き始めると超長いブログになってしまうので,ご容赦ください。
 
参加者は40名くらいでしたでしょうか?
情報科学系の会社の方が多かったように思います。アカデミックの方もちらほら。
情報科学系にかぎらず,人文系とか数学系とか物理系とか芸術系の方もいらっしゃいました。
学生さんもちらほら。政治家の方もいらっしゃいました!
年齢層は幅広くて中学2年生(確か)から50代?くらいの方もいました。
 
このキャンプはアンカンファレンス方式という方式で進められていました。
事前に準備をせず,その日に考えたことをざっくばらんに話しあう方式。
ただ,厳密にはすこーし誘導とアイデア出しのきっかけも含まれていました。
 
タイムテーブル <Facebookより転載>
【8月8日(土)】
12:00~13:00 開場・受付
13:00~13:10 オープニング
13:10~14:00 自己紹介
14:00~15:00 キックオフ・ブリーフィング
15:00~15:50 アンカンファレンスについてのオリエンテーション、テーマ決め
16:00~16:25 アンカンファレンスセッション1
16:30~16:55 アンカンファレンスセッション2
17:00~17:25 アンカンファレンスセッション3
17:30~17:55 アンカンファレンスセッション4
17:55~20:00 食事(19:30ラストオーダー)・入浴
20:00~21:30 ナイトセッション(パーティー)
 
【8月9日(日)】
7:00〜8:30 朝食
8:30~8:55 アンカンファレンスセッション5
9:00~9:25 アンカンファレンスセッション6
9:35~11:05 ラップアップセッション
11:10~11:30 本編クロージング
11:30~12:30 昼食
12:30~17:30 研究所見学(高エネルギー加速器研究機構、物質・材料研究機構)
17:30 解散
 
〜8日〜
今回のキャンプについて江渡さんの説明と10秒自己紹介(全員)のあとは
キックオフブリーフィング
9日に見学をする研究所関連の方の発表と三中さんのご発表
協賛のリクルートの方の発表がありました。
今回の発表は,
「」←タイトル忘れました,ナノテクの可能性について的なお話だったような…
国立研究開発法人物質・材料研究機構 有賀克彦さん
曼荼羅を描くこと」
肩書が多かったので,リンクで…http://cse.niaes.affrc.go.jp/minaka/files/CV.html
前半2つは完全に専門外だったので,こんなところに来てしまって大丈夫か感がありましたが,
三中さんの曼荼羅の話は,系統と分類のはなしでしたので,ライフサイエンスの研究にも関連のある話で興味深く拝聴しました。
その後どこかのタイミングで,協賛のリクルートの方々(お名前書いていいのかな?)から自己紹介と興味のあることを紹介してもらいました。
色々お話してくださってように思いますが,すみません,Ingressとエ?の話しか覚えてません…比較的オフレコのこともあった,かな?
 
その後15分くらいで,付箋を使って(1人10枚,最低3枚)マジックペンで思いついたこと,
話し合いたいトピックを書いていきます。その後ホワイトボードに書かれたラフなアンカンファレンスのタイムテーブルにそってペタペタ皆さんに貼って頂いた後,テーマ別に整理をして(その場でテーマも決める),アンカンファレンスセッションに割り当てていきます。
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テーマ決めに参加している間にプレゼンしてくださった方々の本が売られたり,手形をお願いしたり。
私はテーマ決めに参加し,ぺたぺたとまとめていきました。ややプレゼンの影響も受けている感じで,意外と似た意見も出てきていて,なんとかテーマが分かれていきます。時間帯とお部屋とテーマかぶりに注意をしてテーマ決めをしたら,アンカンファレンスに移行します。
 
アンカンファレンスのグループ(?)は各時間帯3つずつ。時間内の移動も自由だったように思います。AとBは同じ部屋でAはニコ生で放送をし,Bは放送はしないがなんとなく声が聞こえます。
Cは完全オフレコで別部屋というくくりでした。
 
以下は,私が参加したセッションで印象に残ったこととその後に考えた考察や意見を書いていきます。本当はもっともっともっと色々な話題が出ているのですが,私の視点&感想中心になってしまっていること,ごめんなさい。
 
【リモートワーク】
情報系のお仕事の方はリモートでお仕事されている方,一部で取り入れている方もいるらしい。
家族との時間を確保できたり,余計な会議が減ったりするのは利点らしい。
一方で,外国の方とテレビ会議をしたりともにお仕事されている方は,話の通じやすさが
実際に一度会ったことがある人とない人とでは,違うということを感じていて,
実際に会うことのコミュニケーションの利点というものがあるということが話題に上がった。
しかし,それさえも,現状のSkype等のシステムの限界をこえて,もっと臨場感のあるシステムが出来てしまえば解決できるのではないか。
ただ,接待はできないよね,なんて話題も上がり,味覚と触覚(とお腹?)を満たすにはまだまだだということが分かった。
 
【就活をもっと楽しく】
こちらはオフレコの部屋だったので,すこしやわらかく書く。
新卒の就職について,企業も学生も不確定要素が多いままに漠然としたマッチングを行うことが
しんどいのではないのか,という話だった。企業の余裕がないから,大きな企業しか教育するという余裕がなく,総合的に能力の高い学生を皆取りたいという形になりがち。
今回の協賛はリクルートの方だったので,悲壮感が漂う就活をもっと良くしたいという思いもあってのセッションだったらしい。
ただ,参加した学生さんたちは,意欲の高い学生さんたちだったので,就活でしか出来ない話を聞けるとか,社会で働く先輩が貴重な時間を割いてくださったとか,気持ちの持ちようで楽しく出来たぜ,みたいな感じで。
確かにそうだが,本当にそうなのか,このや(以下自粛)感はあったような気がする。
その後,オーストラリアでの就活のお話が出て,オーストラリアでは,長期のインターンシップがあるので,そこで学生の絞り込みが行われて,日本のような漠然と多くの学生が同じような企業をどさっと志望するということはないとのことだった。ただ,その時点や就活の時点で学歴による絞込みも行われてしまうので,日本のようなフラットな就活がしにくいとのことだった。
 
(その後自分で考えたこと)
【教育系】
高校いらないんじゃないか論から,これからの高校談義まで。
研究者を育てるためにはどう実践すべき?論もあったような。
語れるほど覚えておらず…
 
【分類・系統】
 三中さんのプレゼンに触発されたセッション。ただ,触発されただけで意思は無かったので
あまりまとまらず,写真のみで失礼。

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アンカンファレンスセッション4が終わった時点で,夕ごはん&入浴。
夜はパーティー&ナイトセッション
 
ナイトセッション→【エ?】
技術で解決できる究極のエロの話。
このセッションに最初からいるのはどうかと思ったけど,好奇心に負けたっ。
ひどく真面目に技術でいかにエロの世界を変えられるかということを長時間にわたってお話してた。
これに関しては,他の方がまとめてくれているだろうと思うのと,気になったら直接聞いてちょ。
 
この日も他のセッションもあったのですが,印象に残ったものだけピックアップしました。
 
 
ニコニコ学会βの今後とか,科学コミュニケーションとか,哲学とかもあつい香りがしましたが,
参加していないので詳細は分からんす。
 
夜のパーティーは
NEXT KITCHEN の中山晴奈さんのお料理とお酒。
筑波の食材を使ったお料理とか手作りの果実酒とか。
会場でモッツァレラチーズを作ってくださったりもしました。
パーティー前に食べた夕食が唐揚げ定食とがっつりだったので,魅力的なご飯が食べられなかったのも中山さんのこだわりをきちんとお聞きできなかったのはちょっと残念でした。
 
またこのパーティー時に,愛友酒造の方が来て下さり,日本酒の試飲と販売
酒造の歴史や,お酒の作り方の工夫,お米の種類とお酒の出来について,製品開発について
お話をしてくださいました。日本酒,まろやかで華やかな風味があってとっても美味しかったです。
御神酒のお話や,製造方法の工夫,商品開発のためのアイデア出しと実際にお酒に仕上げていく
過程のお話もとても興味深かったです。
 
セッションが終わった後も朝までお話されていたみたいでした。
私は,おなかいっぱいになって,朝までぐっすり寝てました(←え)
 
〜9日〜
翌日も2セッションありました。
えっと,私が参加したのは以下の2つ。
 
良いゲームをつくろうとした時に,以前は元手が必要ないのが最近のメリットだったはずだが,
ランキングに影響されたり,宣伝広告費にお金がかかったりして元手が必要,弱肉強食化が進んでいるのではないか。
それを解決するためにはキュレーションやリコメンデーションが1つの対策になるだろう。
ニッチなものを活かすには?という議論には希少疾病用医薬品の開発が製薬企業において進められていることがヒントになるのではないかと話した。ニーズが国内で少なくても,世界に広げれば,需要はあるはずだと。
しかし医薬品とは異なるので,そのニーズをどう探すのかは課題になるのではないかというご指摘を頂き,やはり,キュレーションやリコメンデーションが現状での解決策ではないのかということになった。
 
【ロボット・生体デバイス】
ロボットに死はあるのか?
死があったら人間社会に溶け込む?
アイボは実質的には死を迎えつつあり,お葬式が行われたりしている。
たまごっちは生きて死んでを繰り返す。(トランスフォーム)
ハードウェアの劣化と,組み込まれた仕組みが一致しない
これが一致したら,より良いパートナーシップが生まれるのでは?
一方で産業用ロボットは死んだら困る。
 
生体とは一体なんなのだろう?
外部ではなく,頭のなかに出力させるものがあったらどうか
話し相手としていたら良いのでは?
 
味,スキル,リハビリは脳次第でできるのでは?
お医者さんの技能をその場で真似できるスキルは脳に組み込めるのでは?
しかし,身体がついていくのか?
 
ラップアップセッション】
セッションが終わった後は,ラップアップ。
各セッションでまとめ役に回ってくださった方々により,それぞれのセッションのまとめがお話されます。
ニコ生で放送していたであろうと思うのですが,上記について軽く記述したノートがあるので,
よろしければご参照ください。
 
その後,全体のまとめ&昼食を経て研究所見学へ。
高エネルギー加速器研究機構物質・材料研究機構にそれぞれお伺いしました。
 
物理系の基礎研究に接するのは高校生以来だったので少し懐かしい気持ちでもあり,
実験施設の巨大さと精密さに驚きました。
ノーベル賞を受賞された小林・益川理論に関連する研究(CP対称性の破れとか,クオークとか,レプトンとか)
について中村さんがご説明(SuperKEKB/Belle2について)と背景・実験の概要についてお話してくださり,実験施設を案内して頂きました。
電子,陽電子の衝突を行う加速器とか測定値とか見てきましたが,とにかく圧倒されるくらい巨大。
巨大な施設の大部分は地下に埋まっていて,その上は草ボーボーだったり。
上に植物育てたら,何か影響があるかもしれないと思ったり。
超コアな研究の重要性とそれに対する正しい評価って難しいのだろうなと思ったり。
世界の最先端を走り続けている分野なのだろうなと感じたり。
あとは,理系といえども,自分の興味外の分野にイキイキとした興味を持つのは難しいと感じた瞬間でもありました。
 
研究所の概要,研究環境から,実際の研究までのご紹介から施設見学へ。
有賀先生と中山先生に平易にご説明頂くという贅沢な時間。
個人的には,外国の研究者の方のほうが多い研究環境,それをサポートする事務局の充実について知ることが出来て良かった。

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研究所内公用語が英語であること,主体的に研究したりリーダーにも外国の方がいて協調しながら
研究を進めていること。また,多様な価値観故に,研究成果をあげられるという主張と実践に刺激を受けた。
もちろん,この研究機構側の紹介なので,正の側面しか見ていないわけだが,多分他の研究所でも
ロールモデルになりうるはず。ウェブを見返したら,任期制定年制,キャリア形成職員があったり
頂いたパンフレットを見たら,職を離れた後の女性の方が再度就職しても,長く安心して働ける環境が整っていたりして,
意欲的に継続的な発展を望んでいる機関でありそうでもあった。
研究内容について,興味ある部分のつまみ食いだと,癌治療のための材料であるナノファイバーメッシュ

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超高感度超並列分子センサーによるがんの診断応用が気になった。

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セシウムの検出の話も興味深かった。
ちょっと順番が前後するが,中山せんせが紹介してくださった
研究・研究者ってなんだろ?と考えた時に 
Dr. Heinrich Rohrer の 「科学は人類の役に立たねばならない」という言葉の紹介は考えさせられる言葉だった。

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人,ではなくて,人類であることが肝のような気がする。基礎研究であれば,場合によっては大いに人類の役に立つ。
過去の惨禍に対する決意の表明にも捉えられる。
 
実際の実験環境を見させて頂いて,WETのラボにうにうにしたり,アルミホイルまみれの走査型プローブ顕微鏡とそれを用いた研究成果について説明していただいたりした。
 
そんな感じで研究所見学も終わり(他にもいろいろあったけどこれでも割愛しました。時々出会う美しい機械とか器具とかってなんなんでしょうね?)
帰路につきました。
 
【感想・まとめ】
様々な分野の様々な年齢層の方とお話出来て良かったです。
あえて議論のテーマの敷居を下げることで,フラットに話しやすい環境を作ってくださったのは幸いでした。自分が関わる分野外の方と話すと新たな発見があったり,視点を教えてもらえたり,自分自身が提供できるものもあったりします。
こういったイベントにわざわざ参加する方々なので,相手の話を聞く時に,自分が主体だったらどうするのかという視点で提案をする人が多かったのもありがたかったです。
あとは,技術の進歩で解決できる問題はまだまだあるのだろうという認識を確かにしました。
今回のサマーキャンプ,アンカンファレンス形式なので,もちろんそこで結論を得るものではないわけですが,ヒントを得る良いきっかけにはなるものなのかな,ということを感じました。
医薬系だったり,ライフサイエンス系だったり,情報科学系以外の研究者の方もきっと楽しめます。
最後になりましたが,運営をしてくださった皆様,本当にありがとうございました。
この記事が何かのお役に立てますと幸いです。
 
【余談】
 個人的な目的に対して
ニコニコ学会β関連の活動をリアルで体験してみたかった→出来た。多分かなり片鱗だけど,それでいいと思う。
最近情報科学系の方と絡んでいなかったのでお話したかったということ→出来た。自分の考え方ってこっちよりなんだなと再認識
思考を少し発散させたかったということ,→出来た。これから,また実際の生活やお仕事に帰着させるのが大事なのだろう。
ラフなコミュニケーションを模索したかったこと→多分出来た。やっぱちょっと苦手。
ウェブアプリケーションやツールを作っている方がどんな視点で取り組んでいるのかということを知りたい→ある程度は出来た。実は,帰りの電車でお話できて,ランニングコストとか建物の配置とウェブ上の構成との関連とかヒントを頂いたので今後に活かす。
 
【反省?】
本や論文で知識を補強しないとおもしろい話をしにくいなと感じました。知識の大きな人は強いなと。遠慮することは自己防衛にすらならないらしい,と。
普段からフラットな議論とか会話をしたほうがいいんだよなぁ。
あと,普段からMediatorとして活動しているけど,Creatorの側面がないと,こういう場所に行ってもアピールはしにくいのかなぁとか。
 
どうでもいいこと。
美人さんが多かったので,wow!ってなってた。イケ・・,いた,いたな。
Apple Watch所持率が高かった(これ,何か理由があるはず)
筑波研修センターは清々しいほどアメニティがありませんでした(笑)
以前バイオハッカソンに参加していた時に,相部屋だったのですが,長くお話するというためには相部屋でも良かったのかもしれません
でも,一泊だとちょっと厳しいかな。そんな部屋がある環境でも良かったかも…?
Ingressはじめました。まだ使い方よくわかっていないので,詳しい方教えてください。
 
ふう,お盆だからゆるゆる書いてたらすごい長い文章になってしまいました。
行ったつもりでサマーキャンプッ☆
 
みなさまも良い夏休みを!